明日はもっと良い日になるよね 公太朗

人生の備忘録をつらつらと…

ルンバのために掃除した話

ルンバ、

自動で部屋を掃除してくれる夢の様な掃除機。

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iRobot社が2002年に発売し、その後他社が似た掃除機を次々と売り出すが、本家本元はコイツ。たぶん。

スマホ全般をiPhoneと呼ぶ人がいた様に、自動掃除機といえばルンバ。ルンバといえば自動掃除機 みたいな時代があったくらいルンバ。

そんなルンバをタンスの肥やしにしていたので、動かせる様に久々に環境を整える事にした。

 

部屋を片付ける

ルンバは自動で掃除をしてくれるが、万能ではない。

物があれば引き返すし、何なら運んで散らかすこともある。段差も大きなものは越えれないので、床には何も置かないのが基本となる。

 

ルンバは準備8割

仕事と一緒なのである。

 

まずはモノが散らかり放題のリビングを片付ける必要があった。

幸い異常気象で雨続きだったため、時間は腐る程あった。

子供が色んな物をテーブルから床に落とすので全て元の位置に戻す。何度も立ったり屈んだりするのはもう地味にキツい。

また、部屋のレイアウトも調整しなければならなかったが、案外やり始めると一気に終わってしまった。

 

片付けが終わった時点でリビングは結構綺麗になっていた。もうこれで良いんじゃないかと言う気もするが、これはまだプロセス。ここでやめたら意味がない。

 

ルンバ久々に動く

ルンバの設置も完了し、遂に動かす準備が出来た。

スイッチをオンにして少し離れた所から見守る。頑張れルンバ。

 

電子音が鳴り、モーター音がし始めた。

ゆっくりと後退しながら、ドックを離れてゆく。ルンバが充電ドックから自動で出陣する様は、いつ見てもかっこいい。

 

フィーンという音と共に掃除が始まった。

うむうむ。良くやった。

これで我が家のQOLがまた一つ上昇した。

 

と思ったら止まった。

どうやら電池切れらしい。

 

まだ1メートルしか掃除してないぞ…

 

こんなはずは…

と思いながら改めてセッティングして動かす。

 

ダメだ。

コイツは死んじまってる。

永らくタンスで寝ていたがために、バッテリーがお釈迦になってしまった。

 

バッテリーを買い換えるか、

と思って持ち上げた時に、ふと小さいブラシが落ちている事に気づいた。

 

コレは!

隅々まで掃除する為の回転ブラシが落ちている。

おかしい、コレは取り外しが出来るものじゃないのに。

 

気になってルンバの裏を見ると3本出ているブラシが1本も残っていなかった。

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ルンバ、満身創痍である。

 

これはもう…そう言うことだよな…ルンバ。

 

お別れを言う時がやってきたらしい。

 

出会いと別れ

 

思えば、コイツとの出会いは8年位前だろうか、

セカンドストアで目が合って(値札を見て)一目惚れだった(安かった)。

 

社会人になったばっかりの私は、その忙しさから部屋をろくに掃除していなかった。

そんな時、毎日掃除してくれたのがコイツだった。

勝手に部屋の外に出ていったり、カーペットの下に潜って出てこられなくなっていたりしたのも良い思い出である。

何故か壁が黒く汚れていた事もたくさんあった。

 

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あまりにも壁にガンガンあたるため、先端にフェルトを装備させていた。

 

もうそんなルンバに振り回されることもないんだろうな。

最後に部屋だけ掃除させて動かなくなったのは、自分で部屋を掃除できるようになりなさいと言う、ルンバからの最後のメッセージだったのかもしれない。

 

これからは1人で頑張るよ。

いままでありがとう、お前もゆっくり休んでくれよ。

じゃあな、ルンバ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

P.S.

昨日ヤマダ電機でroborock買いました。スマホと連動するらしいよ!やっぱり新品は良いね。

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本当につらい日焼けの話

気が付けば梅雨も止んだ7月の終わり。

外を見ると太陽も良い感じでジリジリと照りつけている。空が高い。夏だ。

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昨年からコロナ禍でろくに外出もしておらず、職場の窓から見る眩しい青空と入道雲を見ては

 

「今年の夏は何かしなければ…」

 

と悶々としていた。

 

元々色白の私は、夏は海で肌を焼くことで、年間の肌色を調節してきた。もうまる2年海には行っていない。鏡越しの自分の顔は、気が付けば白を通り越して青白くなっていた。

 

「海に行かねば」

 

私は小麦色の肌を手に入れるため、近場の海へ行くことを決めた。

 

 

 

海に行く

 

決まれば早い。

子どもも1歳になったことだし問題ない。泳ぎの英才教育だ、と妻と3人で近場の海へ向かう。

 

今回目指す海は自宅から1時間半程で着く、小さなビーチ。お世辞にも海の色は綺麗とは言えないが、海の家もしっかり完備しており、コインシャワーも充実している。

学生時代に海ほたるを見に夜中のドライブに来たことはあるが、実は昼に来るのは初めてだったりする。

 

早朝から準備を行い、10時過ぎには目的地へ到着した。

 

ワクワクしながら駐車場の入り口に近づくと、ビーチパラソルの下でイスに座りながらダベっていた女性が話しかけてくる。

 

「500円」

 

こんなビーチで…

と思いながらも、そんな気持ちはつゆも見せず営業スマイルで硬貨を1枚渡す。

女性は無愛想な返事で領収書を渡してきた。

領収書をダッシュボードに放りながらふと考える。

 

前々から思っている事がある。

このおばちゃん達は何なんだろうか。雇われなのか、それとも地主だろうか。どこにでもいるこの手のおばちゃんの無愛想さには慣れているが、もっと愛想良く出来ないのかと問い詰めたい。一回マックのバイトでもして、付け焼き刃の営業スマイルを学んできて欲しい。そのくらいのサービスを求めるのはおかしいだろうか。せめてこのくらいは言わせて欲しい。こんなビーチの駐車場に500円も払うのだから。

 

 

 

ビーチについた

 

まずはテントを張る。

持ってきたものはポップアップテントだ。広げるだけで設置完了。何と便利。

 

次は浮き輪を膨らませよう。

 

 

空気入れを忘れた。

 

 

浮き輪のサイズは直径1.2m位だろうか、結構大きめのサイズだ。

無いものは仕方ない。空気口に口をつけ、呼気で膨らませてゆく。

 

酸欠になりながらも早く海に入りたいので必死に膨らます。初めこそ順調に膨らんでいくが、中盤からはサイズの変化もあまり無い為、膨らんでいるのかわからなくなる。暖簾に腕押し、糠に釘、成果が見えないのはこんなにも辛いのか。この時間が無限に続くのでは無いか、そんな気にすらなる。焦り過ぎて、目の前に海があるのに遠くなった気がした。近付いても絶対に接しない漸近線の気持ちが分かった気がした。

 

 

漸近線に気持ちなんてあるはずがない。

酸素が足りないとアホなことを考えるのだ。

 

 

そんな手痛いタイムロスであったが何とか浮き輪は膨らんだ。

 

 

 

さぁおまちかね、海へ!

 

と言いたいが、ここは一旦落ち着いて肌を焼く。

ゆっくりといこうじゃないか。

 

先程膨らませた浮き輪をベッドにして、ビーチで仰向けに寝る。

 

日焼け止めは塗らない、何故なら焼きたいから。

 

普段蛍光灯の光しか浴びない青白い肌に、ギラギラと照り付ける太陽の紫外線が刺さる。

 

そこらへんのレフ板よりは私の肌の方が光の反射率が高い。もしかしたら綺麗に写真が撮れる映えスポットとして女性が寄ってくるかもしれない。可能性はゼロじゃない。

 

2年振りの日焼け。気持ちがこもっている分、しっかりと焼く。何か嫌な予感はしながらもジリジリと焼く。

 

 

ある程度満足したところで、やっと海に入る。

 

やっぱり海はあまり綺麗じゃなかった。

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言及してないが、今回のメインは1歳になった娘の海初デビューである。

書いてないだけで、ちゃんとご飯を食べさせたり、着替えさせたりお世話はしているので安心して欲しい。

 

そもそも前提として、赤ちゃんに日焼けは禁物であるので、帽子をしっかり被らせ、海の時間もコンパクトにする。…予定である。

 

 

娘の海デビューは華々しかった。

赤ちゃん用の浮き輪をつけているとはいえ、ちゃんと泳いでいた。ありえない、天才かもしれない。

 

小学生時代に平泳ぎが全く出来ず、居残りをさせられた私とは違う。

 

 

予想以上の成果に興奮してしまい、予定の時間より多めに海にいた。

 

 

 

帰ろう

 

大変満足した私達は、帰ることにした。

 

シャワーを浴びて車に乗ってやっと気付く。

肩や、背中にとても熱を感じる。

 

イヤな予感。

以前、海で遊び過ぎてとんでもなく酷い日焼けになった事を思い出した。体温調節が出来なくなり、何日もヒリヒリが続いてフラフラしたり、極め付けは肩から背中にかけてシミが沢山出来た。

 

あんな思いは二度とするまい、と思っていたが、興奮した私はすっかりその事を忘れていた。海には魔物がいる…

 

はっ、とチャイルドシートの娘を見る。

 

私程では無いが、少し焼けている。

すまない…!私か不甲斐ないばっかりに…

 

娘は大丈夫そうだが、私はどうやら無事では済まなそうだ。

 

心配しても仕方ないので、とりあえず楽しい思いでを胸に帰宅しよう。

 

 

 

終わりの始まり

 

その日の夜は、肌が真っ赤ではあったが、まぁ何とかなるだろうの気持ちで就寝した。

本当に真っ赤。

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2日目の夜、やはりこれは長引くかもしれないと感じた。

ヒリヒリする。とてもヒリヒリする。

風呂の温度を熱くしたら入れたもんじゃ無い!

 

 

3日目の夜。

水風呂に頭まで浸かり幹部を冷やす。

気持ちいい。

 

寝ようとするも、おかしい。寝付けない。

というかヒリヒリがすごいし、痛痒い。

寝ようとすると全身の皮膚からピキピキとなるような張りを感じる。そして、堪え切れない痛痒さ。寝付けるはずがない。

平日の夜であるが、2時間しか寝れなかった。

明日は寝不足だ。

 

 

4日目の夜。

そろそろ痛みも折り返す頃かな、と たかを括っていたが、間違い。

痛痒さが増している。肩や背中の血の動きを感じるような気がする程肌が敏感になっている。

肌を撫でるだけでもヒリヒリする。素肌に纏わりつくヒートテックインナーが憎い。

 

娘が無邪気に絡んできて、胸のあたりを爪で引っ掻く。

 

痛い!何ということ!

とんでもないクリティカルダメージ。

 

会心の一撃

強すぎる一撃。

きっと娘は推奨レベル30とかのステージに、レベル40くらいまで上げて蹂躙するタイプだ。けしからん。

 

傷口に塩、泣面に蜂、弱り目に祟り目、何がこの状況にフィットするかな?なんてどうでもいい事を考えた。

 

しかし娘は悪くない。私の自己管理能力の低さが招いた事なのだ。甘んじて受け入れる。娘は可愛いのだ。

 

 

まただ。

昨日寝てないのに、また寝れない。

なんだかんだでヒリヒリ云々より、寝れないことの方がツラい。そもそも眠さを誤魔化す為に日記を書きはじめた。痛い。

 

明日は夏季休暇を取る予定だ。

皮膚科に行こう。

 

そう決めて、やる事がなくなり3時半に無理矢理就寝した。

 

 

5日目朝

昨日の夜検索した、1番近所の皮膚科に向かう予定。

行ったことはないので、Googleのレビューを見る。

 

 

評価 ⭐︎2.4

⚫︎診察早過ぎ、薬だけ貰うならココ

⚫︎椅子からチラリとみる医者、看護師は後ろで大あくび

⚫︎控えめに言ってクソヤブ

⚫︎二度と行きません、テキトー過ぎる

⚫︎なぜここに通院している人がいるのか謎

 

などと散々なコメントがあった。

 

元々レビュー等あまり当てにしない方だが流石に不安だ。

 

まぁモノは試し。怖いもの見たさでここに行く。

 

病院の外観とはうって変わって、内装は綺麗で、品のあるゴージャスな感じ。

受付も綺麗どころが集めてある。医院長…

 

診察開始の5分前には着いて待機していた。

9時になったと同時に、前に女性看護師がずらりと並び、診察開始の挨拶を始めた。

 

あれ?

ココそういう系?

緊張するぞ。

 

片田舎の病院で気を抜いていたせいか、ビクッとなる。サンダルで来たのが少し恥ずかしくなった。

 

 

結果、医院長の診察は普通。

スピーディーではあったが、元々せっかちな性分の私にはとてもやりやすかった。

 

やはりレビューなんて当てにならない。

 

 

 

そんなこんなで、帰宅。

貰った薬を身体に塗り終え、裸でうろつきながらこの文を書く。

 

 

最後に

 

ほんとに日焼けは懲り懲りだ。

 

間違うとデメリットが多過ぎる。

今後はちゃんと日焼け止め塗って、ラッシュガードを着ることにする。

 

考えれば、普通であることが幸せだったのだ。

平穏な日々に飽きて、スリルを求める人もいるだろう。

 

私もその一人だった。

外出不足から発生する、抑圧された欲求が結果的に身体を蝕んだということだ。

 

足るを知るということを理解できて良かった。

ポジティブに考えよう。

 

 

 

あぁ、早く普通に寝たい。

 

思えば日焼けに振り回された5日間だった。

 

もう疲れた…

 

日焼けは懲り懲りだ。

 

 

 

 

ちなみに、来週また海にいく予定だ。

 

 

海が呼んでるので。

 

アディオス。

コロッケを溶かした話

 

ジメジメする。

セミは五月蝿いし、クーラーがオフになるタイミングなんて無いくらいに蒸し暑い。

冷房と除湿、冷え過ぎたり、ジメジメしたりいい設定が全然わからない。

そんな梅雨の終わりにコロッケを溶かした。

 

そもそも

話は遡ること、一ヶ月程前。

両親の家からもらったカボチャが余りにも大きく、どう料理するか悩んでいた。

妻がカボチャスープにしたが、カボチャ自体の味が薄く、淡白な味になってしまったらしい。

どうやらあまり美味しくないカボチャのようだ

 

まだ半分も残っている

どうしたものか…

そうだ、煮付けにすれば良い。

味が染みるし、美味しくなるだろう。

大きな鍋いっぱいに一口サイズに切られたカボチャを入れ、醤油、砂糖、酒、味醂を適量入れ、火にかけ放置した。

グツグツ煮立つ鍋は梅雨の季節には鬱陶しかったが、何よりもカボチャを無駄にせず料理している事に満足していた。

 

カボチャはスムーズに煮付けにされた。

味見の為に1つ食べてみる。

んー

あれー

美味しくない…

やはり、美味しくないカボチャは煮付けてもダメ。

野菜の旨味がない、調味料を吸ったモチャモチャした何かだった。

 

これはまずい。

ダブルの意味でまずい。

鍋いっぱいに作ってしまった。

この量は流石に美味しくないと、食べ切れない。

冷凍するか悩んだが、その日は鍋のまま冷蔵庫にぶち込み、問題を先送りにした。

 

次の日、カボチャを4つ小さな小皿にうつして、レンジで温めて食べる。

美味しくない。

流石に一晩寝かしたカレーの様な、美味しさマジックは起こらなかった。

冷蔵庫で冷やされた大量のカボチャの煮付けが入っている鍋を、腰に手を当てながら眺める。

これは困った。

 

私は食べ物は粗末にしたくないタイプである。

大盛りの懐石料理でも残さず食べるし、おばぁちゃんが作っている様な、お弁当に入っている豆を甘く煮たものも我慢して全部食べている。

特に今回は腐らせた訳でもないし、なんなら調味料を追加して料理している。

これを捨てるのは流石にできない。

どうしよう

そうだ、肉じゃがをコロッケにしている料理を見た事がある。

煮物をコロッケにしているのだ。

肉じゃががコロッケになるなら、カボチャの煮付けもコロッケになるはずだ。

これは妙案だ!!

いけるぞ!!

 

コロッケ作り開始

しかし、不安がある。

コロッケなんて作ったことない。

しかもパン粉とかを使うと思うけど、あるかわからない。

 

時間は既に夜の9時、

今からコロッケなんてそもそも作れるのか?

明日も仕事だし、子育てに家事もある。

今から買い物なんて行きたくない。

店も開いてるか分からない。

 

…やってみるか?

 

最近私は、油で揚げる料理に対しての抵抗感が少なくなっていた。

昔は、コンロに飛び散った油の掃除、鍋に残った使用済み油の処理、面倒くさいと思ってマイナスイメージがあった。

しかし、最近美味しい冷凍食品を見つけた。

揚げるだけのアジフライ。コレが美味い。

この為に最近は油を使っている。

しかも最近やっと気付いたが、油ってそんなに高くない。

よくある大きなボトルで200円ちょっと。一回の料理に使う量なんてたかが知れてる。

何てお得なんだ。

その気持ちからか、コロッケを作る事に対して前向きな気持ちになりやすかった。

 

その前に確認する。

パン粉がなきゃ始まらない。

キッチンの粉物置き場を探る。

ここにパン粉が無ければ今日はやめよう。

何かにつけて、辞める理由を探している。

自分の意志の弱さに驚いた。

 

あった。

なんという事だ。

辞める理由がなくなったじゃないか。

開封されているが、大きな袋に半分ほど残っている。

今回の料理にはちょうど足りそうなパン粉があった。

 

仕方ない、さっそく料理にかかろう。

時間が無いのだ、ただでさえ遅い晩御飯が深夜になってしまう。

これは避けたい。

スマホを取り出し、クックパッドを開く。

まずはこれ。最近料理する様になったとはいえ、これを手放してする程、調子には乗っていない。

 

検索

カボチャ コロッケ

すぐに出てきた。

ひき肉と玉ねぎのみじん切りを炒めて、カボチャと混ぜる様だ。

冷凍室に半分残っていた冷凍のひき肉を鍋で炒めながら、玉ねぎをみじん切りにする。

玉ねぎも炒める。

 

料理は問題なく進む。

カボチャをブレンダーで混ぜるが、刃とカバーの隙間に入り込んで全然混ざらない。

少量混ぜては、取り出し、処理混ぜては、取り出し…

とても時間が掛かった。

なんて事だ、ひき肉と玉ねぎはとっくに炒め終わっている。

こんな事ならマッシャーで潰せば良かった。

しかし、後悔先に立たず。適切な器具の使い方を学べたと思って先を急ぐ。

 

次はコロッケのタネだ。

さっき作った、ひき肉玉ねぎと、カボチャを混ぜる。

急ぎなので手袋などない。

ぬちゃぬちゃと気持ち良い様な、気持ち悪い様な、いつもはあまり感じない感触のカボチャを素手で混ぜる。

タネはうまくできた。

すでに美味しそうだが、煮付けの前例があるため、まだ安心できない。

早る気持ちを抑えながら、底3センチ程に溜めた油の鍋に火をかけた。

良い温度だ。

パン粉は皿に用意した。

あげた後に油をきるバットも用意した。

 

さあ、揚げるぞ!

手早くコロッケを手でまとめると、パン粉を全体にまぶした。

パン粉が落ちない様に素早く鍋の上に持っていく。

油が跳ねて火傷をしない様に一瞬タイミングを計る。

先にコロッケからこぼれ落ちたパン粉がカラカラと揚がっているのが見える。

よし、問題ない。

私はサッとパン粉のついたコロッケを鍋に滑り込ませた。

泡が出て、カラカラと音がする。

良いぞ、良い調子だ。

 

ここまで1時間以上かかっているが、初めてのコロッケだ。

ぎこちないがスムーズにできている。

なんだか楽しい。

私には料理の才能があるんじゃないだろうか。

 

などと思って鍋を覗くと、驚いた。

油が茶色くなってきている。

というか、コロッケと油の境界線がぼんやりして、コロッケが崩壊してきているではないか。

何故だ、何故かおかしな事になっている。

 

コロッケが溶けている…

何とかしたいが、油を大量に使う料理なので慌てると家事になるかもしれない。

ここは慎重に。

火を止めるか?コロッケを取り出すか?

取り出す?形が無いのに?

どうしよう。

このまま揚げてこのコロッケに未来はあるのか?

 

などと考えている内に30秒ほど、崩壊しながらコロッケが、揚げられている。

というより溶けている。

とりあえず火を止めた。

 

しばし鍋を見つめ、また腰に手を当てて考える。

面倒くさい。

コロッケなんて作らなければ良かった。

すでに後悔している。

 

熱々の油に溶けたコロッケ。

どう処理しよう。

食べれるのか?

いや、流石にこれは無理だ。

何でも食べる私だと言っていたが、腐っていたり、失敗したらすぐ捨てる。捨てる理由があれば良いのだ。所詮はエゴだ。

割り切ろう。

 

油が冷えるのを待った。

とりあえず、近くに束ねてあった新聞紙でゴミ箱を作る。

昔からミカンの皮を捨てるときに、チラシを紙風船の様に折ってゴミ箱を作っていた。

おばあちゃんから教えてもらった知恵だ。

受験で自習していた時も、A4の紙でゴミ箱を作り、消しクズをまとめていた。律儀なやつである。

そんな経験もあり新聞紙でのゴミ箱作りには何故か自信があった。

 

 

手際良くゴミ箱を作ると、油コロッケをそれに流し込んだ。

食材を粗末にするのはやはり気が引ける。

バツが悪いのを隠すかの様に、素早くほぐした新聞紙で更に油を吸わせ、新聞紙ゴミ箱の口を閉め、丸くまとめて捨てた。

 

なんだかなー。

おばあちゃんのゴミ箱を思い出す事で、油コロッケを捨てる罪悪感を少しでも和らげようとしているのかもしれない。

 

卑しい人間だ。

どうやら私は失敗をするとネガティブになってしまう様だ。

自分の弱さを再確認することができたと考えよう。

そう、ポジティブに考えよう。

 

そんな事を考えながら、汚れた鍋をしっかりと洗浄し、コロッケを揚げる前に戻った。

この時点で1時間半掛かっている

時計は11時を過ぎている。

いい加減もう終わらせたい。

 

とりあえず何が原因だったのか、手順をクックパッドで確認する。

あった。

原因を見つけた。

パン粉の前に、小麦粉と溶き卵に浸さないといけないんだ。

パン粉さえ付けて揚げればコロッケになると思っていた。

そういえば、テレビ番組でトンカツを揚げる前にも卵やら、小麦粉やら、そんな手順だった。

今更思い出した。

 

なんだってんだ。

まずクックパッドを見て確認する初心者だと言ったいたのにもう料理人気取りだ。

私は馬鹿だった。

手痛い経験だったが、これで2度と同じ失敗をすることはないだろう。

何でもポジティブに考えるのが私のポジティブなところである。

 

そんなこんなで小麦粉と溶き卵を用意した。

手際良く、小麦粉、卵、パン粉に浸して油に入れる。

今度はうまくいった。

嬉しい。

カラカラとコロッケが泡を立てて揚がっている。

鍋にスペースがあるので、続けて2個目、3個目を投入する。

鍋の表面は埋まった。

 

後は待つだけだ。

その間にパン粉で汚れている手を洗う。

コロッケと同じ回数、小麦粉、卵、パン粉に浸している指。どちらがコロッケか分からない位パン粉まみれだ。

パン粉が流れすぎて、排水ネットが詰まった。

排水されずにシンクに汚い水が溜まっていくじゃないか。

面倒くさい。

 

何て手間の掛かる料理なんだ。

コスパに合わない。

手数が多すぎる。

 

カボチャを潰す。

混ぜる。

パン粉をつける。

揚げる。

潰した時点で、ポテサラならほぼ完成だし、冷凍アジフライなら揚げるだけで終わる。

普段の料理ならこの工程の中で3品はできている。

 

そもそもコロッケなんてあまり好きではない。

嫌いではないが、手間が掛かるし、何より唐揚げやトンカツの方が美味しいに決まっている。

 

そんな事を考えつつ、ルーティン化されたコロッケ揚げ運動を数回繰り返し、ようやく料理が完成した。

平日の夜中に2時間かけて、大量の汚れた食器とコロッケ10個と、油まみれの男が出来上がった。

 

酷く疲れた。

もう23:30 を過ぎている。

通常なら寝ていてもおかしくない時間だ。

俺は何をしているんだ。

 

そんな事を思いつつも、失敗から軌道修正して完成させたコロッケは誇らしい。

少し揚げすぎたものもあるが、それも味。

今は疲労感と達成感で満たされている。

 

試しに1つ食べてみた。

 

美味い。

本当にうまい。

コロッケってこんなに美味かったのか。

味のしないカボチャに、ひき肉の旨味がうまく合わさっている。淡白なカボチャもひき肉や玉ねぎと合わせる事で、ここまでうまくなるのか。

サクッと揚がった衣も食感が楽しい。

素晴らしい!

コロッケとはこんなに凄いものだったのか!

 

コロッケが好きになった。

単純なものである。

でも好きになったのだから仕方ない。

ここで強がって、まぁまぁかな、などと言う方がまだ幼稚な気がして恥ずかしい。

 

これは大作ができた。

晩御飯が遅くなって申し訳ないが、妻にも失敗したエピソードと共に美味しく出来上がったコロッケを食べてもらいたい!

 

深夜の晩御飯

すっかりコロッケ作りに集中していた私はウキウキで電子ジャーから白ご飯をお椀に盛っていく。

リビングに行くと、誰も見ていないTVだけがついていた。

寝室を確認すると、妻と子供はすでに寝ていた。

 

当たり前である。

平日の夜に2時間も掛けて晩御飯を作るやつなんて待てるはずがない。

申し訳ない気持ちになりつつも、高ぶる気持ちには逆らえない。

妻を起こし、晩御飯を食べるか聞く。

寝ぼけ目ではあるが食べると言っている。

 

急いで準備し、一緒に食べた。

結果ご飯は美味しかった。

妻も寝ぼけて食べていたが、美味しいと言ってくれた。

 

寝よう

よし。

今日はよくやった。

もう寝よう。

よく頑張った俺は。

 

マッチポンプな感じはするが、困難を乗り越えて、満足いく料理ができた。

決められたルートではない、このライブ感。

答えを模索していく感じが何ともたまらなく楽しかった。

 

そもそもカボチャをうまく料理したいところから始まったこのコロッケ作り。

料理を更に別の料理に昇華させることなんてした事ない。失敗こそしたが、閃きが最終的に正解だったことが嬉しかった。

 

こんなきっかけでもないとコロッケ何て一生作らなかった。

コスパは悪いけど、いい経験だった。

効率的ではない学びの方が、思い出として蓄積されやすいのかもしれない。

 

料理とコロッケが前より好きになった。

 

次は何に挑戦しようかな。

 

 

終わり。